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災害補償 ~ 分割補償・補償を受ける権利・他の法律との関係



労働トラブル解決マニュアル【秘伝の書】


災害補償 ~ 分割補償・補償を受ける権利・他の法律との関係
労働基準法第82条では、分割補償について規定しています。
「使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合においては、第77条又は第79条の規定による補償に替え、平均賃金に別表第3に定める日数を乗じて得た金額を、6年にわたり毎年補償することができる。」
分割補償・補償を受ける権利・他の法律との関係
労働基準法第77条は障害補償、第79条は遺族補償となっています。

労働基準法第83条では、補償を受ける権利について規定しています。
第1項「補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。」
第2項「補償を受ける権利は、これを譲渡し、又は差し押えてはならない。」

労働基準法第84条では、他の法律との関係について規定しています。
第1項「この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。」

第2項「使用者は、この法律による補償を行った場合においては、同一の事由については、その価額の限度において民法による損害賠償の責を免れる。」

また、以下の事項についても確認しておく必要があります。

・災害が第三者の行為によって生じた場合において、使用者が災害補償する前に、同一事由につき被災労働者が加害者から損害賠償を受けたときは、その価額の限度において使用者は災害補償すべき義務を免れます。

さらに他の法律との関係における判例もありますので併せて確認しておきましょう。

・加害者である第三者が被災労働者に支払った慰謝料は、使用者が本条に基づいて被災労働者に支払うべき災害補償額に影響は及ぼしません。

・第1項に規定する「保険給付を受けるべき場合」とは、保険給付を現実に受けた場合を指すのではなく、所定の事由が発生して保険給付を受け得る場合を指します。

・使用者は、労働者が業務上死亡した場合に、遺族補償を行っても、遺族補償を受けた者が労働者の死亡により被った財産的損害についてのみ、遺族補償の価額の限度で賠償の責を免れるに過ぎず、遺族補償を受けた者の慰謝料および遺族補償を受けた者以外の遺族の損害の補償を免れるものではありません。

・労働者の死亡について第三者が不法行為に基づく損害賠償責任を負担する場合には、労働基準法第79条(遺族補償)に基づく補償義務を履行した使用者は、民法422条の類推により、その履行した時期および程度で遺族に代位して第三者に対し損害賠償請求権を取得します。

・労災事故につき、会社が被災者に損害を賠償した場合、会社は労災保険金を被災者に代わって国に請求できるとされています。

・災害が第三者の行為によって生じた場合において、補償を受けるべき者が、第三者から損害賠償を受けまたは第三者の負担する損害賠償債務を免除したときは、その限度において損害賠償請求権は消滅するのであるから、政府は、その限度において保険給付をする義務を免れます。
分割補償・補償を受ける権利・他の法律との関係 また政府が、その後保険給付をしても、損害賠償請求権がなお存することを前提とする労働者災害補償保険法12条による法定代位権の発生する余地はありません。