ようこそ! 「労働基準法のススメ」へ

賃金の支払に関する判例について ~賃金請求権



労働トラブル解決マニュアル【秘伝の書】


賃金の支払に関する判例について ~賃金請求権
労働基準法第24条では、賃金の支払について規定していますが、これに伴う判例が多くありますので確認しておきましょう。 賃金の支払に関する判例について ~賃金請求権
(賃金請求権)
・労働者同士の対立による不就労については、使用者の責に帰すべき事由による労務提供の履行不能ではないことから、賃金請求権は発生しない。

・使用者が労働者の就労を事前に拒否する意思を明確にしている場合には、労働者の債務は労務遂行の単位となる一定の時間的幅の開始の時点にて履行不能となるが、労働者が、使用者の労務提供の受領の拒絶に関わりなく、客観的に就労する意思または能力を有していない場合には、労働者の責めに帰すべき事由による履行不能となる。

・ストライキ後に労働者が直ちに労務提供の意思表示およびその実行をしたことに対する、会社の労務受領拒否は不当であり、労務受領拒否期間中の賃金について会社は支払義務を負い、労働者はその間に会社が支払った社会保険料の労働者負担分について未払い賃金と相殺することができる。

・使用者が無効な解雇により労働者の労務の受領を拒否した以上、使用者が解雇の撤回等労務受領拒絶の態度を改める措置をとらない限り賃金請求権は失われず、労働者が別の事業所に就職した場合であっても同様となる。

・解雇無効の判決が確定したにもかかわらず、社員の復職を認めないで賃金を支給しない会社は、判決確定後の期間について賃金を支払う義務があるとされている。

・解雇無効の訴えに勝訴したが会社に就労拒否されている労働者は、賃金請求権は失われないが、会社の昇給意思表示がなければ昇給分の賃金請求権はなく、また一時金についても会社の具体的決定がなければ請求権がないことになる。
ただし、住宅手当については就業規則において明示されていることから、請求権を有することになる。

・上司の叱責および反省書の提出要求が原因で起きた心因反応による欠勤については、会社の責によるものであることから、欠勤期間中の賃金請求権は失われないことになる。

・就業規則と一体をなす給与規程によって、各従業員の昇給額が勤続年数及び年齢に応じて自動的に決定される制度となっている場合、各従業員数の賃金は使用者の個別的増額の意思表示を待つまでもなく、就業規則の適用上、当然に毎年定期に所定の金額に昇給するものとされた。

・給与規程に具体的昇給基準が定められておらず、団体交渉で一定幅の定期昇給を決めてはいたが、それが労使の規範的意識となっていると認められない場合には、会社が赤字対策として定期昇給を取りやめても違法とはならない。

・従業員の賃金は、その同意を得ることなく使用者が一方的に不利益に変更することはできないから、合理化の一環として整理解雇を避けるためのものであっても、会社が一方的に賃金を調整することはできない。

・56歳に達しても希望退職しない労働者の賃金を一律30%減額する措置は、労働者に与える経済的打撃は尋常なものでなく、労働組合との交渉の結果であるとはいえ、労働協約の規範的効力が組合員に及ばない状況にあることから無効とされた。

・使用者が一方的に賃金を減額することは、労働者の合意がある場合や懲戒処分としての減給処分等の特段の事情がない限り許されず、配転によって業務が軽減されることになっても労働者の明示または黙示の合意がない以上減給することは無効となる。

・賃金請求権は、雇用契約上の使用者の労働指揮権の下に労働者が明示または黙示の指揮命令に従った労務の提供を行うことにより、その対価として取得するものであるので、職務命令に反して指示された以外の業務に従事しても、債務の本旨に従った労務の提供とはならないことから賃金請求権は発生しないことになる。

・工事契約の都合により所定労働時間にはほとんど就労しないで、所定労働時間外に就労した場合には、所定労働時間内には事業所の責に帰すべき休業として所定の賃金を支払わなければならなく、時間外労働については割増賃金を支払わなければならない。

賃金の支払に関する判例について ~賃金請求権 ・タクシー運転手の賃金を、年功給から賞与のない奨励給(歩合給)へ変更する就業規則の改定は、同業他社との競争を有利にする方策であり、従業員のモチベーションを高め、従業員の定着と採用に効果のある合理的なもので、労働組合との交渉も十分に行われており相当とされた。