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賃金の支払に関する判例について ~全額払い-争議行為と賃金



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賃金の支払に関する判例について ~全額払い-争議行為と賃金
労働基準法第24条では、賃金の支払について規定していますが、これに伴う判例が多くありますので確認しておきましょう。 賃金の支払に関する判例について ~全額払い-争議行為と賃金
(全額払いに関する判例)
{争議行為と賃金 争議行為に対する賃金カット}
・業務命令によって指定された時間やその他指定された出張・外勤勤務に従事しないで内勤業務に従事したことは、債務の本旨に従った労務の提供を行ったものとはいえず、また会社は、業務命令を事前に発したことにより、その指定した時間については出張・外勤以外の労務の提供をあらかじめ拒絶したものと解すべきであることから、従業員たちが提供した内勤業務についての労務を受領したものとはいえないため、会社は従業員たちに対して内勤業務に従事した時間に対する賃金の支払義務を追うものではない。

・自動車教習所の技能指導員が、単位教習時間(1時間)のうち15分の時限ストライキを行ったことに対して、1時間の賃金カットを行ったことは適法とされた。

・アメリカ軍沖縄基地の労働者のはちまきを着用しての就労については、債務の本旨に従った履行ではなく、アメリカ軍がこれを拒否し、賃金を支払わないと通告した以上、たとえ就労したとしても賃金請求権はないことになる。

・職務とは無関係のプレートを着用して就労することは、誠実に職務に従事する義務および服務規律規定に違反しており、職場秩序を乱すおそれがあることから、就労を拒否して賃金カットを行うことは正当であるとされた。

{争議行為と賃金 賃金カットの範囲}
・ストライキ期間中の賃金削減対象となる部分の存否、およびその部分と賃金削減対象とならない部分の区別は、当該労働協約等の定めまたは労働慣行の趣旨に照らして個別的に判断することが相当とされる。
上告会社においては、ストライキの際の家族手当の削減は、労使間の労働慣行となっていたことが推認され、当該労働慣行は家族手当を割増賃金の基礎に算入しないと定めた労働基準法第37条第2項の趣旨等に照らして著しく不合理とはいえない。

・ストライキ及び組合活動による欠勤について、家族手当や住宅手当をカットすることは、それらの手当が生活保障的部分の賃金としての性格を有しているとしても、給与規則の定めによる場合には正当とされた。

・従業員である地位の保持に対して保障的に支払われる部分は労務不提供を理由にカットすることはできないが、日々の労務提供に対して交換的に支払われる部分についてはカットすることができる。
欠勤控除条項のない家族手当、住宅手当、勤続手当は前者に属するのでカットできないが、精勤手当は後者に属するのでカットすることができるとされている。

{争議行為と賃金 その他}
・就業時間中の組合活動による休業日について、賃金月額の50分の1のカットが慣行となっている以上、これを一方的に25分の1のカットに変更することはできない。

賃金の支払に関する判例について ~全額払い-争議行為と賃金 ・時限ストライキ当日に、ストライキによる不就労時間に相当する時間残業することを命ぜられた従業員に対して、割増賃金を支払う義務はないとされている。